泣き顔フライデーナイト



私の言葉に、桂木は目を丸くした。

パッと顔を逸らして、片手で口元を覆う。



眉を寄せて、不機嫌顔にも見えるけど、耳が少し赤くなっていた。

あのヘラヘラとした表情が、崩れた。




「っにそれ、」

「え……」

「可愛すぎる」




はぁーー、と長く息を吐く。

それから私の方を向いて、困ったように笑った。



「憂が好き」

「っ」



私は、お互いがお互いを想いあっている関係に憧れていた。



「……私も、桂木が好き」



自然と笑みがこぼれる。



黒髪で誠実そうで、笑顔が爽やかな人。

桂木は、全く私の好みじゃない。


好みじゃないけど、桂木の特別になりたいと、そう思ったから。