泣き顔フライデーナイト



慌てる私の肩を、桂木はそっと引き寄せた。


ふわり、柔軟剤の匂いが香る。




「別に舐めてないよ。それじゃ、俺ら行くから」




今にも飛びかかって来そうな男を全く相手にせず、桂木は私を連れて元来た方へと足を向ける。


それから、





「見境なく女襲ってんじゃねぇよ。サルが」





今までに聞いたことのないような低い声で、
吐き捨てるようにそう言った。




その雰囲気に、男はビクッと肩を揺らす。

「チッ」と舌打ちをして、路地裏のさらに奥の方へと消えていった。



人通りの多い道に出てから、私は腰が抜けた。



「っと、大丈夫?」



あの状況、もし桂木が助けに来てくれなかったら……そう考えたら怖くなった。