――――― なぜ?



 叩きつけるような雨。
 前も見えないようなどしゃ降り。
 
 ずぶ濡れになりながらも気丈に笑う。


 天気予報は明日も雨。
 夕方からはさらに強くなるおそれもある。

 冷たくなったカラダを自分自身で抱き締めて。
 
 

 この手には傘がない。
 降り続く雨から守ってはあげられない。
 薄汚れた上着で構わないなら、いつでも頭からかぶせてあげるのに。
 その震える肩を、この手で温めたい。


 でも、
 オレの姿は、その目には写らない。




 だから、
 自分のためにすら手を合わせたことがない神様に祈る。

 あの心を傷つけるすべてのものから、彼女を守ってほしい。
 小さな背中を、優しく包み込んでほしい。
 この先、ずっと晴れ渡った道を歩けますように。
 いつまでも、愛する人と、大切な人たちと、温かい空間で――――




 どうか、
 明るい笑顔で、愛する人たちを安らぎで満たせるように。

 どうか、
 光の中で、これからの人生をおくれますように。