十六で死んだ美しい盲目男の話。
 美しいカルティが聴こえた。
 白い目は銀色にも見え、焦がすイメを欲した。思うの。僕ね、もしまみえるなら神様しかいない話がイイなあ。
 神は七色にも見えー
美しいかんばぜは、愛を霹靂致すかに思えた。
 泣くとイバラに包まれた御腕ー、泣いた今は泣き乳母の顔、それは小さな河原で培われたエデンのほとりにも思えた。
 延々愛し合う兄弟、今の目の奪われた太陽。
 死後は自分はエデンのほとりの兄弟かよー、そんな事を思った靂は、二重の大きな瞳を瞬かせてほけきょうともなろうや、そう、思っていた。
 時々カルティが聴こえてー、それは古い旋律で見いいかったと言われたから、そーい、そうエデンでは言うのでしょう?カルティと名乗ったらずんとくる旋律に変わったりした。
 男シシェーの逸話
 ある日、本を聴いた靂は、シシェーの逸話について聴いた。
さ禁忌の都エーデ、それはエデンのこの世で、満月の雷雨の日にしか見みえ無いとされたと言う。
 それは宝物で、因業を犯した天人が周握なされた都だと言うー。
 どう言う事なのー?
 僕は、僕だったら何と、その都に衆知させてくれるとある様だよー!
 目が見えない美男は、衆知が可能だとされるー。
 腕にイバラ、瞳は銀色、コートを纏い、満月の夕闇靂は旅に決めたと言う。
 雷雨の方へー、一人乳母を流し見て搔き消えた靂、死んで帰ろうと決めた。風が強い。
 外は汚いヒトが多いの。
 そう昔乳母は言った。関わっちゃダメよ。 ヒトは、悪魔の権現だからね。うん、分かったー。
 泣いた。もう、帰れなくなった。風が強い。そして、一夜限りの夢、神権現シシェーと逢い見えて死ぬ迄、後一日ー。
 雷雨だー。光った!そして、か、神様ー!シシェーだった。
 金髪のブロンド、そして金色に輝く瞳は電灯の様ー、美しいー、見えたのは、何と、まだ二十歳にならない神、シシェーであった。 羽がー?大きい。空を夕闇に覆った。何用。明日を待たず迄に、僕を殺して下さい。答えはそーい。嫌なら、どーい。何と答えはあい、そーい。
 きゃあ!一瞬、急に唇を愛欲が襲った。口付けを、神シシェーにされて仕舞った。欲情ー、そして、靂は大きな剣に見みえ、死んだ。短い十六年だった。

 そんな話があったの?男シシェーの逸話は、そんなにも面白かった。
 泣いて笑った。殺された、殺されたよ僕シシェーに。
 泣いた。
 虜だよ。
 もう離れられそうも無い一夜、それは夢だった。乳母は笑って、シシェーね。
 昔エデンをこの世に作ろうとした神権現で、それは美男過ぎたと言うわ。
 格好良かった?良かったわねえ。
 うん、うんー。
 二人は抱き合った。
 何故だか、妙に物哀しかった。思えば、今、死にたいと乳母は言った。
 シシェーは、二十歳で時を止める事は出来ないか考察した美神だった。叶わず、全ての罪を背負って死んだ神だった。