結愛を慰めるように頭を撫でようとした手は
左ポケットの携帯の「ヴヴ」というバイブ音によって一瞬止まった


左ポケットの携帯は
隼人からの情報専用の特殊携帯


まず、余程のことがなければなることは無い


それに、俺の休みの日は
極力連絡を控えてくれている


(つまり、余程のことがあったというわけか)


左ポケットを一瞥し
伸ばした手はそのまま結愛の頭を撫でた


「少し医局に行ってくる
このまま少し休んでろ」


結愛「…わかりました」




カシャッ



カーテンを閉め、吸入室を出る


向かうのは非常階段


ここは患者も医療関係者も来ることはないので1人になるには最適である、と遥太に教えられてから使ってる


左ポケットの携帯を取り出し
隼人からの連絡を確認する


送られてきた暗号を解読。


内容は
黒崎組のシマの北部できな臭い動きがあるとのこと。

女子高生の一部で
薬を混ぜたと思われるクッキーが出回っており、それによる被害が出てきている、と。


こうした話はそう珍しい話ではなく
いつもは仁たちで解決しているのだが


(どうやら今回はなにか違うらしい、)