人生最悪の日だった。

初めての彼氏だった人に振られた。

理由は、相手の浮気を目撃してしまい執拗に問い詰めたからだった。


『お前いい加減しつこい。男は浮気するもんだよ、わかんねえの？』


別れ際に彼の口から吐かれた捨て台詞は、この上ないほど冷ややかで、私の心を嫌というほど刺した。

あぁ、この人の気持ちはもう私には無いんだ、と悟った瞬間に、頭が真っ白になった。

何も言い返せず、去っていく彼の背中をボーッと見送ることしか出来なかった。

彼は振り返ることなく最初の曲がり角を曲がり、姿が見えなくなったところでやっと涙が出てきた。

こんなに呆気なく終わってしまうものなのか…。

どうして、アイツが悪いのに私が振られたの？

アイツが浮気なんてしてなければ、私だってこんなにしつこく問い詰めたりはしていない。

悔しくて悔しくて、一度出た涙はなかなか止まらなかった。

人目を気にする余裕も無いほど、胸が痛く苦しかった。

街中を泣きながら彷徨い歩いていたから、知らないところにたどり着いてしまった。