家庭科室から移動し、グラウンドで部活をしているサッカー部を眺めながら私は考え事をしていた。

「チョコレート何を作ろうかな、やっぱり普通に型に入れて作った方がいいかな?
うーん、何にしよう…」

「…なた!日向!」

「うわあ、みーくん!もう部活はおわったの?」

バレンタインチョコのことを考えてたらいつの間にかみーくんが目の前にいた。

「日向、バレンタインチョコのことを考えてたの?
そんなに悩むほど作るのなかったらガトーショコラ作ってよ。
俺凄いガトーショコラ、好きなんだよね。
日向が作ったガトーショコラ食べたい!」

「そうなんだ、意外だなぁ。
みーくん、マフィンの好みの味もそうだけど、基本苦いものとかサッパリしたものとかが好きだと思ってたからチョコレート自体好きじゃないって思ってた。
そうだ、今の会話で思い出した!
はい、これ湊が好きな抹茶味のマフィンだよー」

「えっ、マジ?くれんの?ありがとな!
っていうか、毎年毎年凄い苦くて健康にいいって言われてるチョコレート渡されてたのってそういう事だったんだなぁ(笑)いつでも味の好みなんて聞ける距離にいるのになんで聞かないのかなぁ」

「うっ、だって面倒くさかったんだもん!」

嘘。本当は聞きたくて仕方なかったけど、みーくんに聞いて自分の気持ちがバレるのが怖かっただけだ。

「面倒くさいってなんだよ(笑)ひどいなぁ
あんな苦いもの食べれないからカレーに入れて食べたんだぞ、
俺はもっと甘い方のチョコレートが食べたかったのにー」

「ごめんごめん、これからずっとガトーショコラを作るよ!」

みーくんにガトーショコラを作れるのもあと何回だろう、きっとすぐに可愛い彼女ができちゃうんだろうなと思い切ない気持ちになった。