私、佐々木ひまり。高校一年生。
今年の春から桜ヶ丘高校の一年生だ。


中学はセーラー服だったから毎日このチェックの可愛いブレザーに袖を通すのは胸が躍る。って言ってもまだ着るのは2回目なのだが。


この前入学式があって、今日は待ちに待った初の登校日。必死に勉強して入った高校だからきちんと通わなければ…


「お母さん、いってきます!」
「いってらっしゃい、ひまり。初登校の感想、楽しみにしてるわよ〜♪」


お母さんは少し、いやだいぶ明るい。口癖は、「なんとかなるわよ〜。」だ。
そんな母を持ったのに、私は割とクール系で通ってるつもりだ。周りからは天然、なんて言われるけど、自分ではしっかりしてると思っている。


玄関でお母さんに見送られ、私は気分を高揚させながら、軽い足取りで学校への道を進む。


最近お気に入りのアイドルの曲を口ずさみながら歩いていると、後ろから声をかけられる。


「おーっす、今日はご機嫌だな!」

私の家の隣に住む、水瀬大夢(みなせ ひろむ)。幼稚園から一緒で、高校も私と同じ桜ヶ丘高校。どんなことも気兼ねなく話せる相手である。 


「あ、大夢おはよ〜。クラス離れちゃって残念だったよねー。」

入学式でクラス分けが発表されていたのだが、大夢は1組、私は2組だった。小中と、奇跡的にずっと同じクラスだったので、離れてしまったのは残念だ。でも、家が隣なんだから、別にそこまで一緒にいることもないのかもしれないな。