イントロにあとシュートが担当するルカパートから歌いだす。





「ー♩ーーー!🎶ー」















この歌声!!!!




嫌な勘が当たっていた。どくどくと心拍が一気に上がる。









…透明感。だけど脳に響く低音。サンゴ礁があるコバルトブルーの海のイメージ。でも力強さやセクシーさもある。耳の鼓膜を刺致してくる歌声。



コイツ……







今は、歌わないと。パートに沿って一緒に歌う。







「🎶〜♩ーーー🎶♪♬〜」








!!!!マジか。打合せなしでアレンジ入れてきた。つられそうになり顔を読める。



リスキーすぎる。




でもここで取り乱したらまた舐められる。ハモリ部分を何とか歌い繋ぐ。




クッソ、




『警報トラップ』はボカロの中でも有名な曲だ。初音ミクと巡音ルカのツインボーカルで、スピード感のある曲調が人気。


ボカロ曲はほとんどが人間が歌うことを想定としていない。早口だったり、息継ぎのタイミングが少なかったり、音域の高低差が激しすぎたり。


『警報トラップ』はまさにボカロの代名詞でサビの部分は息継ぎのタイミングがなく、ライブで歌い手さんがミスることも多い。そのくらい早い曲。なのに、





何でこんなに安定しているんだよ…っ。






肺活量がバケモノだ。こっちが3回の息継ぎで歌うところを一息で歌う。にもかかわらず、声量が全然落ちていない。むしろ、後半になるにつれて上がっている。






何で?







そのまま歌い繋ぐ。

    


「ー♬🎶〜♬♩ーーーー!」






やられっぱなしは癪だ。やられたらやり返す。負けじとB メロでこちらから仕掛けた。でもすぐに合わせられる。焦っている様子は微塵も感じられない。


こっちはあんたの正体にも気づいて声も半分震え気味なのに。

曲も終盤にさしかかったときだ。





ん?




シュートが手で何か合図をしている。




…5,4…





カウントダウン?




3、…2







…まさか…





1…!!!







「🎶ー🎶♩ーーー!」
「♩♪♪ーーーー♪!」









やっぱり!!

ラスサビでのハモリパートのチェンジ!!

なんか仕掛けてくると思っていた。合図だけで分かると思うなよマジで。最初半音外れたじゃないか。


そこから最後まで歌い切り、二人でステージ
裏に戻った。 





かっかっ…







「………ねえ、アンタってさ…」












地下通路で俺は止まって問いかけると、シュートはヘラヘラと笑いながら振り向いた。


「あ、気づいたー?そりゃ気づくか(笑)」






もう、確信した。


聞違いない。


何度も聞いた。


ネット上では新世代歌い手としてともに取り上げられた。



この歌声、癖、息継ぎの仕方。








こいつは






































一「俺はコード。君と同じ、歌い手だよ。」