Dying music〜音楽を染め上げろ〜


Midnightに寄って、とりあえずの現状報告。







「どうだった。」

「ヤジが来ました。」





ギターをクリーナーで拭きながら答える。





「叫んで黙らせたらしいじゃねえか。マスターから連絡来たぞ。」

「だって…」



しようがないじゃん。「静かにしてくださーい」で収まるような空気じゃなかったんだから。




「演奏、やっと自分らしさが出たな。」

「力任せ過ぎました。」

「いつもあれくらいやってもいいんだぞ。」






師匠はそのあと、具体的なアドバイスをしてくれた。



まず、発声。途中でイカれて高音が死んでいた。だから、もっと楽にできるように次からしっかりボイトレをすることにした。



それから息継ぎのやり方。吸う箇所を間違えると、息が続かずに苦しくなる。発声にもよくないからな。




「これくらいだ。あと聞いておきたいことはあるか?」




…ステージが終わったとき思ったことがある。心の中でもやもやしていること。









「あの曲を歌ったことは正解だったんでしょうか。」













俺があの場で歌った曲は、狂気的だったり、死ぬ直前の歌だったり、今考えたらステージで歌うべき曲ではなかったんじゃないかと思った。



俺も、後半は鳴因しながら歌っていた。演奏後に拍手などの賞賛の声は来たけれど、演奏中は歓声の一つも上がらなかった。歌詞を聞いて戸惑っていた客もいた。








「でもお前はその曲を歌っていて楽しかったんだろ?感情全部乗っけて届かせることができたんだろ?」

「はい。」

「ならいいじゃねえか。」







師匠は俺の頭をポンと撫でた。


この師匠の一言、行動にどれだけ救われているか。

もっと自分の音楽を追求していっていいんだって思わせてくれる。


それから、と師匠は続けた。







「今日、ゆずながいるぞ。Bスタにいるから声かけてやってくれよ。」

「わかりました。」







時計を見たらもう9時を回っていた。もうそろそろ家に帰さないと。補導でもされたらまた面倒なことになる。