Dying music〜音楽を染め上げろ〜







初投稿するときは緊張でガッタガタだったよ。ボタン押すのでさえ10分くらいかかったし、投稿した後も恥ずかしさとちょっとしたわくわく感が交互にやってきてすんごかったんだからね。





でも再生回数が増える訳がない。




素人がただ歌った動画をネット上に上げただけだ。しかもパソコンなんて持っていなかったからスマホで録音した。カラオケ音源同然。ボリュームの比率がおかしいし、トラックも分けずに録ったもの。低クオリティにもほどがある。



そんなんだから一週間たっても再生回数は5回とか。Coodボタンも押されていない。そのあとも何本か投稿したけれど全部手応えなし。



何でだろう?カラオケとかで歌うと音程は合っている。感情移入もしてる。でも何か足りない。


他の歌い手さんやシンガーさんと違う。足りないピースが分からない。なかなか再生回数が伸びなくて、師圧に相談した。




「…この曲、お前の音質と合ってねぇな。」




師匠はアップした曲を一通り聞くとそういった。



「この前のも聞いたけどどうして高音域の曲ばっかり歌うんだ?」



それは、だって、



「だって俺の声は………汚いです。」



俺はギターではバリバリのロック弾いていたんだけど、歌うときは高音系のバラード系ばっかり歌っていた。


だって、上手いアーティストはみんな高音が綺麗だ。キーンって耳が痛くならない高音。ビブラートがかかっていてロングトーンが美しく、儚さがある。そんな風に歌いたかった。


それに比べて俺は高音を出そうとしても掠れる、裏返る。自分のこの鼻にかかったような歌声が好きじゃなかった。低くて、高音がほとんど出ない。ガサガサした声。



喉が痛くなって後半は思い通りに歌えない。



高音で歌うのがいい歌じゃない。そう師匠に言われてちょっと傷ついた。




「それは逆に武器できる。」



武器……。その言葉に顔を上げた。



「高音ってのは練習すればいくらでも出せるものだ。でも、低音はある意味才能だ。」


このガサガサ声が才能だ?どう武器にするんだ。



「低音で歌う練習をしてみろ。あとは自分の声質の研究だ。」



自分が出せる最高音域と最低音域など自分の音域を分析した。

そしたら今まで歌っていた曲と自分が出せる音域が全然違っていた。師匠が言った通り、俺には低音系が合っていたんだ。



地声でどこまで?

裏声使ったら?

低首出すときエッジが入ったりしない?



自分で気づけるところはできるだけ見つけた。そのほかは第三者から聞いてもらってどんな感じなのか感想を貰った。Midnightに来るバンドのボーカルの人から教えてもらったこともあった。



「この歳でこんな歌える子初めて見ました。どこまでアドバイスしていいんですか?」

「できることなら全部数えてほしいです。」

「分かった。じゃあまずは呼吸の仕方だね。」





全部体に叩き込んだ。


機械操作も勉強して、Mix技術も磨いた。スマホの小さい画面と何時間も睨めっこして目が痛くなったのも思い出。


もちろん、歌い手を始めたからってギターを疎かにする気は微塵もなかった。むしろ、腕を上げ続けた。


上手くなることは心地が良かった。お客さんからも褒めれられて、社会人の人に混じって演奏もした。外国のアーティストの弾き方を真似した。できなかったら師匠に聞いて、自分のものにしていった。



これでもっとかっこいいができる。

もっと拍手を貰うことができる。

もっと、音楽を届けることができる。

そう思って練習した。