そこから師匠に教えてもらった。


TAB 譜の読み方、コードの押さえ方、セッティングのやり方、ギターの技術からこのストリートのことまで全部。


音楽の世界のこと一から教えてもらった。

楽しかったし、師匠から教えてもらう時間が幸せだった。





ギターを初めて3年がたったある日、





「どんな景色か味わってこい。」





小5で初めてMidnightのステージに立った。



憧れのステージに立てる、と喜んだのもつかの間。結果は散々。目の前の観客に手が震えた。



最初の頃は今のようにたくさんの歓声や拍手をもらうことはできなかった。むしろ、ダメだしの方が多かった。

拍手なんて1,2人、それも賞賛ではない、子供の俺の心中を察した慰めの拍手だ。そのあとも何度か立った。が、





「音弱っちいんだよな。あの年で人前で弾けるのはすげぇが。」

「音もズレズレだしな。」






年齢なんて関係ない。

11歳の小学生に容赦なく浴びせられた言葉。

今までのお遊びと違う、憧れの気持ちじゃ追いつけない。

本気でやる音楽の厳しさを痛感した。

何よりも、




「長澤さんの弟子って聞いたから期待したんだけどなぁ。」





俺のせいで師匠の名前が出されるのが申し訳なかった。お客さんに拍手を貰えなかったこともあるが、それ以上にうまく演奏できなかった自分に腹が立った。



期待にも応えられない未熟者。

悔しかった、辛かった。

ステージ裏で何度も泣いた。