退院してから1ヶ月ほど、マンションでママが一緒に愛梨のお世話を手伝ってくれていた。

ご飯を作ってくれたり、買い物にも行ってくれて、本当にたくさん助けてもらい、ママには、感謝でいっぱい。

ママがいてくれるから、晶斗も安心して仕事ができると感謝していた。

パパには申し訳ないけど、1ヶ月もママがこっちに来ていて、パパには寂しい思いをさせてる。

ある日の夕方、いい加減、我慢の限界だったパパが、愛梨に会いに来た口実でママを迎えに来たらしい。

「あいり、じーじーだよ」

久々にママに会えたパパは、愛梨を抱っこしてご機嫌であやしている。

「ノン、そろそろママに甘えずに、頑張ってみたらどうだ?ママなんて、おばあちゃんに頼らずに1人でお前達を見てたんだぞ」

素直にママを返してって言えばいいのに…

まぁ、ママに甘えてるのは本当なので言い返せない。

「そういう時代だったのよ。今は、昔と違うの」

助け舟を出してくれたママが、キッチンからリビングへ戻ってきた時には、大きな鞄を持っていた。

「ママ、帰るの?」

「そうよ。パパも迎えに来たことだし、1ヶ月もママがいたら晶斗君もそろそろ気疲れしてくる頃でしょ。ママも他所様の家にいて、疲れちゃった。晶斗君がいる前で寛げないもの」