「ダメ、代わって」
「どこ?ここか?」
「もう、いいから…看護師さんに代わってもらって」
私の怒りを含んだ声に晶斗の手が離れ、代わりに看護師さんが撫でてくれると、痛みが和らいでいく。
これよ。これ…
私の満足げな表情に、晶斗は役立たずだと落ち込んだらしく、「親、そろそろ着いたかも。見てくるよ」と、しょぼんとして出て行ったが、気にしてる余裕なんてこっちにはない。
「海堂さん…息止めないで呼吸法しましょうね」
痛みがひいたら、フー、フーと吐いて
「はい、踏ん張って」
看護師さんの掛け声に合わせて、何度も繰り返す。
そして、また痛みにのたうち回る。
分娩室に入ったから、すぐ生まれるものだと思っていたけど、まだまだらしく、結構長い間、陣痛と闘っていて、そうこうしてる間に、ママと晶斗が入ってきた。
ママの顔を見たら、涙が溢れてきて思わず手を伸ばしママの手を握った。
「ママ…」
「ノン、大丈夫よ。もう少しだからね。頑張りましょう」
「う、うん」
ママが、腰を摩ってくれると、痛みが和らぎ心強い。
晶斗はいうと、自分が痛いみたいに、顔を歪めて同じタイミングで呼吸法をしている。
なんだか、その様子がおかしく、リラックスさせてくれたらしい。



