「痛いけど、まだ大丈夫だから…お腹の中で、この子も頑張ってるの。パパが不安がってたら、この子も不安になるでしょ。お腹撫でて、応援してあげてよ」

痛みがくる度、晶斗は、私のお腹と背を撫でながら、目に涙を溜めて泣きそうになっていた。

「がんばれ」

か細い声でそういうのが精一杯の晶斗。

こんな感じで、出産に立ち会えるのか心配になり、内心、ため息をついていた。

この時の私は、まだ心に余裕もあり、思ったほど大したことないと悠長に構えていたのだ。

が、徐々に痛い時間が長くなるにつれ、今までにない痛みが急激にやってきたりするようになると、時間を測る余裕もなくなり、痛さで何も考えられず、耐える時間が2時間も続いている。

「…うっ………も、む、り」

出産するまで、こんなにも痛みに耐えないといけないなんて思わなかった私は、もう、2度と出産なんて無理だと心で叫んでいた。

「のあ…大丈夫か?」

「…大丈夫じゃない。痛い…つ………」

「ノン、…で、電話」

晶斗は、慌てて電話をかけていた。

「はい、40分ほど前から10分間隔で痛みがあるようです。はい…そうです。……今から向かいます。はい、お願いします」