まぁ、生まれてくる日を楽しみにしていたから、仕方ないのかなぁと呆れている。

晶斗が留守の間に陣痛が来たら、自分でタクシーを呼んだり、晶斗や母に連絡もしなければいけないので、心細かった私としては彼が側にいてくれると安心感はある。

だけど、痛みが徐々に出てきて、時たま苦痛に身動きできなくなり、痛みと闘っているのに、うろうろとされたらうっとしい。

「落ち着いて。まだ、陣痛の前兆よ」

たぶんだけど…

「ノン、痛いんだろ。もう、生まれるんじゃないのか?やっぱり、病院へ行こう⁈」

痛みに耐えてる側で、オロオロとしている晶斗は、車の鍵を握りながら、「救急車」と、電話をかけようとしだす。

かなり、パニックっているらしい。

「…病院、電話して」

病院に電話をかけた晶斗は、向こうの対応に苛立ってる。

「痛みに耐えてるんですよ。…そんな悠長なこと言ってて、子供と妻に何かあったら、許しませんよ」

「晶斗、ちょうだい」

しぶしぶといった顔で、渡してもらった。

「すみません、お電話代わりました。はい…まだ、痛みの間隔はまばらです。はい…はい…わかりました。…失礼します」

「なんだって?」

「10分間隔で痛みが続くようだったら、また連絡してくださいって」

「そんなのおかしいだろ。こんなに痛がってるのに、まだ入院できないのか?」