隣で寝ている人の気配がないことに、深い眠りから目覚めながら手探りで彼の温もりを探したが、どこにも残っていなかった。

うー

また、先に起きれなかった…

妊婦になってからというもの、朝がとても弱くなった気がする。

いや、毎回、彼が目覚ましより先に目を覚まして切っていくからだ…と起きれない理由を言い訳にして重たい瞼を大きく見開き、しばらくそのままキープ。

そして「よっこらしょ」と以前より少し重くなった体を横向きにしてから、マットレスに膝をつき起きあがろうとしたら、寝室のドアがゆっくりと開いた。

「ノン」

「…おはよう。起きれなくてごめんなさい」

「おはよう」

グレージュの春ニットに黒のスキニーパンツ姿で部屋に入ってきた晶斗は、私がベッドから起きるのを手助けするように、手を差し伸べて体を支えてくれる。

私服ということは、今日はお休みらしい。

仕事を辞めて、こちらに戻って来てからは家にいることが多いので、朝は曜日感覚がいつもおかしい。

「そんなこと気にしなくいいって言ってるだろ。ほら、ゆっくりと立って」

完全に立ち上がると、優しく抱きしめて「チュッ」と唇にキスがおちる。

そして、腰を落とした晶斗は、私の大きくなったお腹に両手を添えてお腹にも「チュッ」とキスをする。