その日、成美は授業に集中出来なかった。

水口は心配して、成美によく話しかけた。

だが、返事もマトモに出来ていなかった。

朝の会から翔はここでの最後の1日を過ごしている。

隣の席の為、よくチラチラ見てくる。

が、最後だと言うのに成美はそんなの気にもしなかった。


給食の時間。

成美の箸が落ちた。

何故か急に正気に戻ったらしい。

大声で泣き出した。

「やだよぉおお!なんで!なんで行っちゃうのぉ!しょうちゃんと一緒にいるって約束した!嘘つき!」

駄々をこねながら翔を叩いた。

香織が近づいてきて、成美を翔から離した。

香織は、殴りも怒りもせず、ただそっと成美を抱きしめた。

「皆、一緒だよ。」