小学校3年生。

成美にとって、1番嫌な年だ。

ある雨の日。

雨は、成美と翔にとって嫌な日だ。

外に出れないから。

でもそれ以上に、その日は嫌だった。



香織と成美は教室で話していた。

「しょうちゃん来てないね」

「遅いね。」

いつも朝早い翔も、今日は遅かった。

「風邪かな?」

そんな軽いものだと思っていた。

でも、もっと重いものだった。


教室のドアが開き、3年の担任、水口が入ってきた。

その後に続いて、翔も入ってきた。

「しょう…ちゃん、?」

翔はいつも以上に暗い顔をしていた。

「皆、席に着いてくれるかな。」

いつも翔並にテンションが高い水口も、今日は沈んだ様子だった。

「今日まで一緒に過ごしてきた流川 翔くんですが、」

嫌な予感がした…。

「転校することになりました。」

頭が真っ白になった。

なにも、聞こえない。

水口の口は動いてるけれどなにも聞こえない。

なにも、考えられない────。