「おかえり、仲良くなったん?」
隼人の言葉に頷いて、それぞれ席についた。
「ねぇ、ガチの翔だった?」
口元に手を当てて、コソッと言う香織に、笑いながら「そうだよ」と言ってあげた。
横の席からは、隼人と翔の声が聞こえる。
「え、2人知り合いだったん!?」
「はい、幼馴染…?って感じですね。」
「えー。じゃあ成美ちゃんは諦めるか。」
「ちょっと、すぐ女の子を狙わないでくださいよ。」
歳の差あっても2人は仲良いなぁ、と思ってクスッと笑う。
「良かったね、成美。」
香織が目を細めて話す。
どこか懐かしいような顔で…。
「昔は、よく3人で一緒にいたよね。でも翔がいなくなってから、私が成美を守るようになった。」
「香織…?」
「私は2人を応援するよ。でも…」
え…?香織、もしかして泣いているの?
私には、香織の目が潤み始めてるのが分かるよ。
「翔が成美を守ったら…私は?どうなるの?昔みたいに3人でいられる?2人の恋応援したら、私…1人で…」
「待って、香織、どうしたの?なんで急に…泣かないでよ」
机に乗っている香織の手を掴んで、安心させるように話しかける。
「香織、私達はずっと親友だよ。1人になんかしない。だからもう、泣かないで」
「ほんと…?」
香織の涙が少しずつ減っている。
もらい泣きしそうになったけど、私が泣いたら香織が安心してくれない。
私が守られてるだけじゃ、ダメだ。
「私が香織を守るよ」
香織は私の手をギュッと握り返した。

