バイクは少しづつ人通りを見せ始め、駅前までやってきた。
「確かこの辺やった気がする…」
駅前をバイクで一周しても喫茶店は見当たらない。
「駅前通り…ですよね。」
再確認して成美は後ろを向いた。
バイクのスピードは落ちているので、片手くらい離しても大丈夫そうだ。
「香織、携帯貸して」
香織がポケットから携帯を出し、成美に渡すと、検索アプリを開いた。
検索記録を見て、喫茶店へのルートを確認する。
「隼人さん、そこ、右です!」
「おおきに!」
成美と隼人の協力プレイで、喫茶店の看板を見つけることが出来た。
「お、あそこか?成美ちゃん。」
「そうです!その奥に駐車場あるらしいですよ」
「バイク止められるか心配やね…」
「多分大丈夫です」と告げて、香織に携帯を返した。
「ありがと」
「はいよ。てか、自分の携帯は?」
「出すのめんどい」
「ぇ。充電ないとかかと思ったのに…。私、あと20パーしかないんだよ!?」
「いいじゃんいいじゃん」
成美はニコニコ笑いながら香織を慰めた。
「着いたで!綺麗やなぁ…」
3人とも店内の新しさに圧倒された。
「じゃ、俺はあっちに座るわ。じゃな」
「ありがとうございました!!」
深々と頭を下げ、手を振った。
すると、隼人は思い付いたように振り返った。
「あ、香織ちゃん。」
「え、私?なんですか?」
「これ…」と呟きながら鞄をあさりはじめた。
「スマホの充電コード。返すのはいつでもええで!返さんかったら、俺スマホ使えないからね?」
メモ帳を出して隼人は何かを書き始めた。
「これ電話番号。俺からはかけないから安心してな。カフェ出る時は使う時間短なってまうから、今度連絡頼む!」
両手を合わせて片目を閉じた。
香織は「ありがとうございます!」と女子でも好きになるくらいの満面の笑みを浮かべた。
隼人は少し顔を赤くして、頷いた。

