「今年度もサンキューな」
水口の声が教室に響いた。
今日は中学一年最後の日だ。
卒業式を終えて、成美達は教室で1年最後の時を過ごしている。
「来年度のお前らの担任は誰だろうねぇ。俺もわかんねぇけど、まぁクラス替えとかあるし、運持ってればええね。」
関西出身の水口は少し涙ぐんでいる。
「先生来年いるよね?なんで泣きそうなの?」
クラス中がドっと笑いに包まれた。
「お前ら俺に感謝ないんか?1年過ごしたんやぞ!?こんな大変なクラス!でもいい思い出あったやん!!」
「先生興奮しないでください。」
勢いが凄すぎて全員が中腰になっていた。
「お前ら泣かんの!え!?」
「なんでキレ気味なんすか。」
1人の男子が口に出すとそれに釣られて全員が突っ込みを始めてしまった。
(……来年もよい年でありますように。)
クラスの笑い声を流しながら、成美はそっと心の中で願っていた。