僕の言葉に、玲は頷くとそう言った。優花は、心配そうに僕を見つめる。だから、僕は「大丈夫」と優花に微笑みかけた。

「……」

そして、僕は魔法筆を握り直すと一歩前に出る。幻影は、唸り声を上げると僕に向かって飛びかかって来た。

幻影の攻撃を避けると、僕は幻影に向かって走り出す。

「僕も鳥になって空を飛べたら、この苦しい生活から逃げられるのだろうか」

僕が口にすると、僕の背中に大きな光の翼が生えた。床を強く蹴って、空へと飛び上がる。

幻影は空を飛ぶ僕に向かって、黒い光弾を放ってきた。それを、僕は避けてく。

「僕の心に、尖った氷が突き刺さっていく感覚がした」

魔法筆の先を幻影に向けると、魔法筆の先に魔法円が現れて、魔法円から尖った氷が幻影に向かって飛んでいった。

幻影が氷を見ている間に、僕は間合いに入る。

「僕の夢は、儚くてすぐに消えてしまうんだ」

僕がそう言うと、氷の上に「消」と文字が現れて空気に溶け込むように消えていった。

それを見つめた後、僕は床を強く蹴って跳ぶ。そして、幻影に向かって魔法筆を振り下ろした。魔法筆の筆先が幻影に当たって、幻影は弾けて消えていく。

そして、僕はゆっくりと落ちてきた本を手に取った。暗かった周りが、一瞬で明るくなる。

「……すごい……」

僕に近づいてきた玲は、僕と目を合わせると微笑んだ。