そんなことを思いながら、僕は幻影に向かって走り出す。幻影は、玲に攻撃をしようとしていた。

「……私は、あなたを守りたい」

魔法筆の先を玲に向けて、優花は言う。次の瞬間、玲の目の前に半透明の黄色の盾が現れた。

幻影の爪と盾がぶつかって、盾にヒビが入る。優花は「え?」と玲と幻影を見つめた。

……何とかしないと!

「……いつも僕の希望は、弾けて消えていく。僕は弱い。だから、強い君が羨ましいんだ」

ふと頭に浮かんだ言葉を口にすると、盾に『強』と『弾』いう文字が浮かび上がる。次の瞬間、幻影は吹き飛んだ。

「……違う魔法を同時に発動させた……?普通、1つしか発動出来ないのに……」

僕を見つめながら、玲は僕を見つめる。僕と目が合うと、玲は微笑んだ。

「静弥は、物書きの才能があるんだな」

そう呟いて、玲は幻影に目を移す。僕らから距離を取って、幻影は僕らを見つめてる。

「……優花、玲……お願いがあるんだけど……」

僕が言うと、2人は同時に僕を見た。僕は、2人を見つめる。

「僕、幻影と1人で戦いたい。戦い方に慣れたいというのもあるけど……僕がどこまで1人で戦えるのか試してみたいんだ」

「……分かった。俺が危ないと感じたら、その時は俺らも戦うからね」