「……さっき書き出しを言った本の最後の文を言ってみて」

そう言って、男の子は微笑む。僕は、男の子の言葉に頷いた。

「……君の心にも色を付けたかったんだ」

僕がそう言うと僕が手に持っていた大きな筆が消えて、制服の上から着てたローブが消える。

そう言えば、さっきまで消えてた電気は付いてて、窓から見える空はまだ明るいな……。

「もう大丈夫だよ。詳しい話は、向こうでする……まずは、自己紹介をしようか。俺は、織田 玲介(おだ れいすけ)。玲って呼んで!……君は?」

「……太宰 静弥(だざい しずや)です」

玲さんの問いに答えると、玲さんは「静弥か。よろしく」と僕に向かって微笑んだ。



図書館の裏側にある『関係者以外立ち入り禁止』と書かれた扉を開けて、玲さんは中に入る。玲さんの後を付いて通路を歩いてると、広い場所に出た。

「玲くん。お客さん?」

玲さんの目の前に、制服を着た肩にかかった黒髪に黄色の目の女の子が着地する。

「今日から俺らの仲間になる太宰 静弥くんだよ」

「そっか!じゃあ、静弥くんも物書きなんだ!」

「……物書き?僕、小説とか書いたことないんですけど……」

「……俺が怪物と戦った時に使ってた力あるでしょ?あの力を使って怪物と戦う人も『物書き』と呼ばれているんだ」