僕らは家に入ると、カバンを机の上に置いた。

「……僕、静弥と暮らす前は1人で暮らしてても平気だったんだけど……静弥と離れてから、その……寂しかった……」

紫恩は、恥ずかしそうに顔を赤くする。その姿が可愛くて、僕は思わず笑ってしまった。

「寂しいなら寂しいって言ってくれたら、泊まりに行ったのに!」

「寂しくなかったし!」

「あれ?言ってることが違うんだけど?」

僕が紫恩の言葉にそう返すと、紫恩は顔を赤くしたまま俯く。

きっと、紫恩はずっと寂しい思いをしてたんだろうな。紫恩の両親は、仕事の都合でほとんど家に帰れなかったみたいだし……。

僕は、無言で紫恩を見つめてることしか出来なかった。



一緒に暮らし始めて、数日が経った。今日は仕事が休みだから、髪に髪飾りを付けて色は違うけどお揃いの服を着て、紫恩と一緒に近くの図書館に遊びに来ていた。

「静弥、紫恩!」

僕らが本を見てると後ろから声をかけられて、僕らは声をした方を見る。

そこには、玲と優花が微笑んで立っていた。

「職場以外で会うのは久しぶりだね」

紫恩が、微笑む。玲と優花は僕らと同じ職場で働いてて、今でも一緒に幻影と戦ったり、一緒に遊んだりしてるよ。

というか、僕らは物書きしかなれない職業に就いてるんだ。