「紫恩、久しぶりに会った両親から『静弥って子を友達が捨てるから、守ってほしい』って言われた時は心底驚いたって言ってたな」

そう言って、玲は苦笑する。

「……なるほどね」

母さんと父さんが辛そうにしてたのは、そう言うことだったんだ……。

「……とりあえず、紫恩のところに行って。俺と優花は、ここで皆を見てるから」

玲の言葉に、僕は頷くと走り出した。



屋上に来てみると、傷だらけの紫恩が刀を片手に本を手に取っているところだった。紫恩の横顔は、どこか切なげに見える。

紫恩は、僕の方を見ると微笑んだ。