「……君が近くにいるだけで、心が温かくなったような気がした」

次の瞬間、僕の体は温かい空気に包まれた。

「……攻撃力を一時的に上げた。私は皆を見てるから、その間に幻影を!」

優花の言葉に、僕と玲は同時に頷いた。



何とか幻影を浄化した僕は、玲を見つめていた。

「……教えて欲しいんだ。真実を……」

玲は「分かった」と頷くと、口を開く。

「ある日、俺と優花は紫恩から呼び出されて、静弥の両親と話すことになったんだ。両親は、お前を捨てたくはなかったって言ってた」

「じゃあ、何で……」

「お前が幻影に好かれやすいから」

「え……?」

「物書きは、普通の人間よりも遥かに高い確率で幻影と遭遇することになるんだ。静弥ほどじゃないけど……静弥も分かってると思うけど、たまに1人で浄化出来ないほどの強さの幻影が出ることがあるんだ。その幻影に遭遇してしまった静弥の両親の物書きだった友達は、亡くなってしまった」

一旦言葉を切って、玲は僕を見つめた。

「そのことがあって、静弥を失うことを恐れた両親は、静弥のお父さんの友達の物書きである息子……紫恩に、静弥を守ってもらうように頼んで捨てたみたいなんだ」

「……」