「それもそうか……」

「とりあえず、お腹空いたし……何か作るよ。その間、静弥は僕の部屋でゆっくり休んでて」

そう言って、紫恩は部屋のドアを開けた。紫恩の部屋は思ってたよりも綺麗だ。散らかってるといえば、床に何冊か本が置いてあるくらいかな。

気になって、僕は床に置かれてる本を拾う。

「……その本は、詩集だよ。僕の家にあるのは、詩集か有名な小説家が書いた小説くらいかな……とりあえず、勝手に引っ張り出して読んで良いからね……また呼びに来るよ」

そう言って、紫恩は部屋の端の方にカバンを置くと僕に微笑んでドアを閉めた。

「……」

僕は本棚にしまわれている本を眺めた後、椅子に座った。目の前にある机にお出かけ用のカバンを置くと、カバンの中からノートとペンを取り出す。

……暇だし、小説でも書こうかな。授業中に暇で書いてた小説を完成させないとな……。

そう思って、僕はペンを握ると続きを書き始めた。

「……眠い……」

襲って来る眠気に耐えることが出来ずに、僕は紫恩の部屋にある布団に横になると、時計を見る。

もう21時なんだ……早いな。

そんなことを思いながら、僕は眠りに落ちた。



目を覚ますともう朝みたいで、窓から見える空は明るくなっている。僕の体には、薄い布団がかけられていた。