「……そっか」

たまには、家族で読書するのも良いかもしれないね。でも、嫌な予感がする……。



歩いて図書館まで来た僕らは、それぞれ読む本を探す。僕ら以外、誰もいなかった。

「……」

僕は、服のポケットに入れた髪飾りを握り締めて本を探した。適当に本を選んで、僕は椅子に座る。

父さんと母さんを待ってる間、僕は小説を書くことにした。

……それにしても、遅いな……。

小説を書いてた手を止めて、僕は携帯から顔を上げる。妙に静かで、何も物音が聞こえない。ドクンと心臓が嫌な音を立てた。

「父さん!母さん!」

叫んでみるけど、2人は返事をしない。それどころか、僕を注意する声すら聞こえなかった。

「……まさか……」

僕は、立ち上がると走り出す。走ってると、辺りが暗くなった。やっぱり、近くに幻影がいる。

「父さん!母さん!」

図書館の中を走って、父さんと母さんの姿を探した。早く見つけないと……。

「放して!!」

どこからか母さんの声が聞こえてきて、僕は立ち止まる。

「誰か!助けて!!」

……もっと奥か!

僕は服のポケットから髪飾りを取り出すと、髪に付けて走り出した。

「見つけた……僕の心は、いつだって灰色だった」