「おはよー!」
あれから数日後の朝。僕がリビングに入ると、いつも元気いっぱいの母さんは眩しい笑顔を浮かべていた。
「……おはよ」
そう返事をして、僕は席に座ると朝ご飯を食べ始める。その時、席に座って新聞を読んでた父さんは「静弥」と新聞から顔を上げた。
「ん?」
「最近、この辺で不審死が多いらしいから気を付けてよ」
「不審死……?」
僕が父さんの言葉に首を傾げると、父さんは新聞のある記事を見せてくれる。
「……っ!」
記事を読んでいて分かったのは、犯人が幻影であること。記事には、遺体の近くにはタイトルの分からない本が落ちてたみたいだから……。
そう言えば、この間玲が言ってたな。物書きの存在は、あまり知られていない……って。
「……静弥。何かあったら逃げるんだよ?」
「わ、分かった……」
僕が頷くと、母さんは「静弥、朝ご飯食べたら出かける準備をしなさい」と僕を見た。
「え……?」
「今日は、家族で図書館に行こうと思って」
「分かった……でも、何で図書館なの?」
「久しぶりに本を読みたくなってね……ついでに、家族で外に食べに行きましょ!父さんが奢ってくれるって!」