「……こた」
「俺さ」
「……」
「やっぱ、奏海が好き、なんだよ」
「っ」
「だから、奏海が……そいつとのことは本当に酔った勢いだった、って……もう、二度と、そういうことにはならない、って、約束してくれたら、って思って」
「……こた、ろ、」

 ぐにゃり、視界が歪んだ。
 だけど、そのまま顔を伏せておくことはできなくて、ゆっくりと視線をあげれば、ゆらゆら、瞳を揺らす琥太郎と視線がぶつかった。

「好き、だ……マジで、好き」
「っ」
「別れる、っつったの、取り消してぇ」
「……」
「なぁ、ダメ……か……?」
「っ、」

 ごめん、ごめんなさい。
 実際に吐き出そうとしたその言葉は、目玉からぼろぼろと溢れて落ちていく粒状の水分と、ひきつり渇れた醜い泣き声にかき消された。