絶賛、モテ中!なんて、陽気に言えるわけない。
まさにそれが悩みの種なのだから。
まだ、春斗だけならどうにかあしらっていたかもしれないけど、流石に久住君の事は無理だ。
きちんとしないとって気持ちばかりが逸る。
なるようになっちまえって、放り投げたいわ。
いや、出来ないのは重々承知しています。はは。私は渇いた笑いを漏らした。
それから、特に春斗とも久住君とも顔を合わす事無く時間は過ぎて行った。
放課後になり、教師バンドの練習が始まる。
それはやっぱり納得行くモノではなくて、明日起きたら練習しに来ようと思った。
「安西先生、お疲れ様ー」
「あ、お疲れ様です」
春斗が笑顔で近付いて来る。
学校ではあの交わした約束通り、お互い敬語だ。
「もう帰ります?」
「はい、辻先生と飲み行くんで」
「え。いいな。俺も行きたい」
「ダメです」
「ちぇっ。今度行きましょうねー」
「ええ」
笑顔で手を振るけど。
……くそ、白々しい。
昨日一昨日と一緒に飲んでいるじゃないか。
素敵スマイルの下には、悪魔の様な笑みが浮かんでいるに違いない。
まあ、わかっちゃいるけどさ。
学校での態度だって事は。



