「……答えくれるってわかっていたけど、直球に来るとは思わなかった。こんなん我慢出来ねえだろ」
「はる、」
春斗と言おうとした私の唇はまた春斗によって塞がれた。
誰が通るかわからない教室なのに。
こんなこと。いけないってわかっていても、嬉しくて、春斗をもっと感じたくて、私はその背中に腕を回して春斗を求めた。
「真央梨、好きだよ。大切にする。はー、これ以上は我慢出来なくなるから続きは帰ってからな」
「な!?」
十分我慢していなかったと思うけど!?
「さー、今日はご飯何作ろうかなー」
「油淋鶏食べたい」
「お、いいね」
辻先生には後で報告しないとな。でも、辻先生は何も言わなくても私達の様子を見て察しそうだ。
笑い合いながら私と春斗は教室を後にした。
真っ直ぐに春斗が気持ちをぶつけてくれなかったら、きっと今この選択をしていなかったし、春斗のことを好きだとも思わなったと思う。
だから、春斗には感謝しなくちゃ。
私は隣にいる彼を見つめて、そう思った。
【完結】
2021.5.7



