「辻先生」


ルンルン気分の私と、苦笑している辻先生にかかった声。
その声の主は、春斗だった。



辻先生は一度私を見ると、私を呼んだ?って顔をしながら「はい」と返事をする。
春斗は私を見ずに、用件を伝えて早々に去って行く。


質問内容は文化祭の事について、だったが。


一切、私に話しかけなかった春斗を見て辻先生は何かを勘付いた様だ。
というか、あれはわかりやすすぎるよ。あれだけ私に構っていたのに。



「……なるほどね」


辻先生が何を納得したのかはわからないけど、とりあえず、“何かがあった”という事だけは理解した様だった。


「ま、とりあえず今日の飲みで。ね?」

「……はい」


さっきまでのルンルン気分が、一気に萎んで行く。


普通に接しようと思っていたのに、あんな態度を取られたらどうしたらいいのかわからなくなる。


あれじゃ、私も話しかけにくい。
遠慮してしまうじゃないか。


気持ちが整理出来ないのかな。

……そうだとしたら、何も言えないか。