「でも、私は年上であって、教師だから。
だから、大人ぶるのは当然なんだよ」


また絡む視線。くりくりの瞳に向かって私は諭すように言った。


「今までの私のイメージって、そうじゃなかったかな」

「……はい、そうでした」



だからこそ、今日の定食屋での私に彼は驚いたんだ。
私が大人として、彼と接していたからこそ。



「子供扱いしてるって思わせたの悪いなって思うけど、私の大事な大事な生徒なのは紛れもない事実でしょ?」

「……はい」

「だから、早く帰らないと親御さん心配させちゃう」

「もう少しこうしてたいです」


ぽすんと私の肩に顔を埋めて来る久住君に、ふふっと笑みが零れるけどそうも言っていられない。
私は教師なのだ。



「ダメです」

「……ちぇ」



口を尖らせる久住君に笑いながら、私は背中を押す。
久住君も渋々歩き出した。


久住君の家まで送るつもりだったのに、久住君が必死に断って来るから今度は私が渋々頷いた。