「うっわ、もうこんな時間⁉」
「あ、本当ですね。気付かなかった」
「ちょ、ちょっと。久住君練習とか何か用事があったんじゃないの?」
「今日は俺一人だったんで、平気です」
それに安堵の息を漏らす。
もしも、バンドの練習をしていたなら皆心配していたよね。
よかった。あーよかった。
「よかったー。
あ。お腹空かない?」
「え?」
それに、久住君は目をぱちくりとさせる。
「先生やってくれたお礼に、ご飯奢るよ」
「……まじですか」
「うん、まじまじ。あ、この後用事とかある?」
「ないです! あっても大丈夫です!」
あったらダメだろう。
でも、ないみたいで安心。
「それじゃ、行こうか」
「はいっ」
久住君はふわふわの髪の毛を揺らして、元気よく頷いた。



