補修が始まって3日目。
あたしは大悟を呼び捨てになるまでに仲良くなった。
目の前に座って赤ペンで採点をしている大悟。
あたしは英語のテキストを読むふりをしながら大悟をちらちらみていた。

「・・・・・・・・・・。」

「・・・・お前さ。」

「・・・・え?」


急に呼び止められて目を合わせる。


「何回いうたらわかるんじゃ。ここは、ThisじゃのうてThat!!!」

「あ。ごめん」

「やる気あるんか!!!!」

「ごめんて!!!」


ぶつぶつ言いながら採点を続ける大悟。
大悟は自分の事を話さない。
聞いても答えない事も多々ある。

伊崎大悟、5月20日生まれ、高校2年生。
学力特待で入学してる。だから多少の事はOKされる。
兄妹構成は兄が1人。実家は歯医者。
綺麗な顔立ちで女に間違えられることも多々あるらしい。
割と力持ち、適当、変なところで几帳面。
面倒見がいい。嫌いな食べ物は明太子。

あたしが知ってるのはこのくらい。


「大悟さー・・・。」

「何?」

「・・・彼女いないの?」


大悟の採点をしている手が一瞬止まる。でもすぐに採点に戻る。


「おるよ。」

「・・・・ふーん。」


何か質問してもすぐはぐらかされる。


「ゴールデンウィーク中遊ばないの?」

「俺補修じゃけの。」

「ふーん・・・彼女今なにしてんの?」

「・・・・・・・寝てる。」

「こんな時間に?」

「寝るのすきなんじゃろ。」