「おっはよー♪」

「あ!昌悟さん!!!」


昌悟さんに近づくと目が真っ赤になっているのに気が付いた。


「どうしたん、いろちゃん♪」

「昌悟さん・・・目が・・・。」


大悟がいつもと違う昌悟さんに気づき近づいてくる。


「おい昌悟・・・どうしたんじゃ・・・。」

「何がー?」

「お前なんかあったん・・・?」


大悟が手を伸ばすと昌悟さんは手をふりほどき怒鳴った


「さわんな!!!!」

「・・・・・お前・・・どうした・・・?」


「カナ・・・・おらんくなった・・・・・。」

「・・・・・・は?」


昌悟さんの充血した目から大粒の涙がボロボロとこぼれる。


「・・・・・・・・・・・・・。」

「お母さんの・・・実家に行くんじゃって・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・。」


大悟が昌悟さんの肩をもったまま一粒の涙をこぼした。


「どこいいったか・・・わからんの?」

「言わんて・・・ッ・・教えたら俺が行くからって・・・」

「・・・・・・・・・・・・・。」


昌悟さんが涙を拭き私を見る。


「------・・・ありがとういろちゃん・・・。」

「・・・・・・え?」


昌悟さんが私に深々と頭を下げる。


「・・・・・俺カナと話したんよ。」

「は?」


昌悟さんの言葉に大悟が驚く。


「-------・・・ゆーて、返事はもらってないんじゃけど。」

「・・・・・・・・・・・・・。」

「俺・・・受け止めたつもりでおったけど・・・出来てなかったんじゃろうな。」

「・・・・・・・・・・・・・。」

「いろちゃんが『声は聞こえてる』って言うまで話しかけたりしてなかった。」

「・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・でも・・・最後に喋れたから・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・ありがとう。ほんまに。」

「・・・・・・・・・・・・・。」



「・・・冷凍人間は俺やったんやな・・・・。」




昌悟さんが私に笑いかけてくる。始めてみた昌悟さんの笑顔。
いつもの笑顔とは違う、すっきりとした心からの笑顔。

つられてあたしも笑顔になる。

「・・・・・・よかったです・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・。」


嬉しくて、すごく悲しい別れ。

複雑だけど、話せたって笑顔の昌悟さんを見ると、よかったって涙が出た。


「・・・・・・・ッ・・・・・・。」


昌悟さんがあたしの頭をいつものようにポンポンとしてくる。