ミーンミーン
蝉の声がうるさい、夏が来た。
バスケの部活中、顔を洗いに外へ行き顔を冷たい水であらった。

「きもちー。」

タオルで顔を拭いていると


「いーろーちゃん♪」


と声がした。振り返るとそこには昌悟さんが笑顔で立っていた。


「昌悟さん!お久しぶりです!!珍しいですね、学校来るの。」

「今日は進路めんだーん。ほんまめんどかった。」

「おつかれさまです(笑)」


昌悟さんがベンチへ座った。私も一緒にとなりへ座った。二人で空を見上げた。


「・・・・暑いですね・・・。」

「ほんま。夏はすかん・・・。」

「進路きまったんですか?」

「俺頭ええからね♪推薦入学というものがあるんですよ。」

「あらすごい。」


今まで空を見ていた昌悟さんがパッと私を見る。


「どーよ!大悟くんとは!!」

「・・・・・・どうもこうも・・・あいつ学校こないから。」

「あー、大悟くんも暑いの嫌いじゃけぇね」

「そもそも・・・私には無理かもです。」


昌悟さんが私の顔を覗き込む。


「え?なんで?!」

「あいつ・・・大悟。はるかさんの事忘れれないみたいだし。」

「・・・・・そーかなぁ・・・。」

「もう、2番にしかなれないのかなって。」

「・・・・・・・・・・・。」

「2番でいいって言ったら大悟あたしの事気になってくれるのかな・・・。」

「いろちゃん。」


昌悟さんがあたしの頬を両手で引っ張る。


「いっ・・・いたいへす・・・。」

「いくらいろちゃんでも俺怒るよ。」

「・・・・え?・・・」

「一番じゃないと意味ないんよ?」

「・・・・・・・・・。」

「一番じゃないなら、2番も100番も同じじゃ。」

「--------・・・・。」


昌悟さんがあたしの頬から手を離す。じんじんする、頬ではなく心が。


「一番じゃないなら人は幸せにできん。」

「・・・・・・・。」


「一番じゃないと愛せんの。」




昌悟さんが立ち上がり手をヒラヒラとさせてその場を去った。


昌悟さんは・・・・


一番がカナさんだから、他に人を好きになれないんだろうな・・・。