私はカナさんに話しかけた。


「はじめまして。須藤いろはです。寒くないですか?私の声は聞こえてますか?ずっと夢をみてるんですか?」


昌悟さんが頬を撫でる手を止め私を見る。


「・・・・・・・。」

「ふふ(笑)寝てる人にも声は聞こえてるって聞いた事あるから。」

「そうなんじゃ・・・ありがとーいろちゃん♪」

「声・・・聞こえてますかね・・・?」


カナさんの手にそっと触れた。


少し冷たい肌の温度がした。



「わからん・・・。ただ・・・真っ暗じゃなければええな・・・」




カナさん。私の声聞こえますか?



昌悟さんは、あなたが起きるのをずっと待っています。



たぶんきっと、事故の日から・・・



昌悟さんの願いはあなたが声を発する事です・・・。





「今日は、ありがとうございました。」


病院の前で昌悟さんに頭を下げた。


「ううん、こちらこそありがとう、カナも喜んでるよきっと・・・。」

「へへへだといいんですけど。」


昌悟さんにつられあたしも笑顔になる。


「何しとるんじゃ。」


後ろから聞きなれた低い声がした。
振り返るとそこには金色頭の愛しい人の姿があった。


「あら、大悟くん。今日はよく会うねぇ。」

「邪魔臭いのう。どけや。うっとまるな。」

「あ、ごめんごめん♪」


大悟が昌悟さんとめんどくさそうに話した後、私をちらっと見る。


「だ「さっきはごめん。」


私の声にかぶせて、大悟が頭を下げる。


「・・・・・・・・。」

「よう考えたら、昌悟がよくしそうな事じゃった。」


頭を下げたままの大悟。


「ほんまごめん・・・。」

「・・・・全然?!気にしなくて良いよ!!!」

「・・・・ごめんな・・。」

「大悟くん。」


昌悟さんんが大悟の肩をたたく。


「いろちゃんに全部ゆーたけ♪」

「は?」

「はるかちゃんの事も、カナの事も、あの事故の事も♪」


2人は少しの間無言だった。


「大悟くんも気づいとるじゃろ。もうはるかちゃんは戻ってこんって。」