そして、優しく微笑むと「それで、お話とは?」とレイモンド、エヴァン、フィオナを見つめた。

「……薬物事件」

「え……?」

「最近、ニュースで話題になっている薬物事件の犯人ですよね……先生?」

レイモンドがそう言いながら男性を見ると、男性は何を言いたいのか分からない、と言いたげにレイモンドを見る。

「……先生。僕、休憩時間に『薬物事件について、何かご存知ですか?』という質問をしました」

「確かにしてましたね。でも、俺は本当に何も知りません」

「……僕が質問した時、先生は右上を見ていました。人間って、嘘をつく時は右上を見るんです」

「……面白い冗談を。もし、仮に俺が犯人だとして……何故警察は俺を疑わない?犯人は、近くにいるって言われてるのに……」

「それは、警察が前科者やスラム街の人間がするものだと思い込んで捜査をしていたからです」

男性の問いかけに、フィオナが答えた。男性は、目を細めてフィオナを見る。

「だから、先生を疑いませんでした。しかし、実際は先生が生徒に薬物を売り付けていたのでしょう?」

フィオナは、そう言ってとある写真を見せた。

「これは、偶然撮れた写真です。これを見ても言い訳をしますか?」