罰恋リフレイン

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今朝送ったLINEに既読がつかない。電話も一度も繋がらない。薫に今度こそ嫌われてしまったのだろうか。

「はぁ……」

溜め息をついて駅までの道を歩く。
最近仕事にも身が入らない。俺の中で薫の占める割合がこんなに大きかったなんて、失って初めて気づく。

もう一度溜め息をついてふと横を見るとカフェから見慣れた男が出てきたところだった。

「あれ?」

「あ……」

俺と目が合って声を出した男は薫の職場の先輩の冬木だ。その後ろには女性がいる。

「夏城くん……だっけ? 偶然だねー」

冬木はほっとしたような顔をして俺に近づこうとして後ろに立つ女性を振り返った。

「すみません、知り合いに会ったのでこれで失礼します」

困惑する女性をその場に残して冬木は俺を駅とは反対の方に誘導する。

「ちょっと……」

両手で肩を押され行きたくもない方向に無理矢理歩かされて戸惑う。

「何すか?」

「俺に合わせて。今の女性から逃げたいんだ」

「は?」

「この店入ろう。俺が奢るから」

冬木に強引に連れていかれた居酒屋で俺はあからさまに不機嫌な顔をする。

「あの、あなたといきなり飯食うほど親しくもないんですけど……」

「ごめんごめん」

冬木は少しも悪いと思っていなそうな笑顔を見せるから余計に機嫌が悪くなる。

「あの女の人誰ですか?」

「知らない」

「え? 知らないって何ですか?」

「マッチングアプリで今日初めて会った人だから」

意外な言葉にうまく言葉が出てこない。

「婚活……ですか?」

「いや、結婚までは考えてないかな。ただの出会い目的」

本当に意外だ。冬木は女性とそういう軽い付き合いをするタイプには見えなかったから。

驚いて固まる俺が面白いのか冬木は笑う。