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ノンアルコールに切り替えた百合は、お気に入りのカクテル、シンデレラを満から受け取ると質問した。
「で、和葉ちゃんの結果は?」
「……あえなく玉砕ですね。しかもきっぱり、戸田さんが好きだからって理由で」
答えを聞いて、百合は自身のことでもないのに、切なそうな顔をした。
「はっきり言うのね」
「まぁ、あいまいに気を持たせるよりは、いいんじゃないですか」
横からナベケンにそう言われて、百合は小さくうなる。
満は話を続けた。
「結局、そのあとすぐに中嶋と戸田さんがつき合っちゃったんで、よりカズはショックだったみたいでした。自分が告白したから、二人がつき合ったような気がしたんですかね。当時は泣いてばかりでした」
「ええー、かわいそう」
「そう、かわいそうだったんです」
そこで満は、フッと小さく笑う。
「でも、そんなカズを見て、どこか安心している自分に気がついたんです」
満は観念したように、過去の懺悔を口にした。
「思えば僕がカズの背中を押したのって、ヤキモチからだったんですよね。早くカズが失恋しちゃえば、こっちも気にしてもらえるかもって……バカみたいですけど」
