バカな和葉。小学校の頃から好きだったくせに、戸田さんに遠慮して、ずるずる片想いを続けている。そんなに好きなくせに、どうして隠そうとしちゃうのさ。
そんな風に満は考えて、うつむく和葉に声をかけた。
「でもカズなら、きっと成功する」
「へ?」
和葉はびっくりして満を見上げた。そこにはニッコリとした、仏のような顔がある。
「告白してさ、中嶋に意識してもらえばいいんだよ。そこからが勝負だ」
「ええ?」
「意識させちゃえば、男なんて単純なんだからあっという間だよ。告白、しちゃえしちゃえ」
「で、でも……」
「カズは男人気あるんだよ、知らない? そんな子に告白してもらったら、あの中嶋だって……」
「人気? あはは、それはないない」
鈍感すぎる和葉は自身への評価を流して、しかしどこか安堵したように息を吐いた。
下に向けていた顔を、空へ上げる。
「あー、でもなんか、それもいいかも。意識してもらわないと、始まらないよね」
ようやくこぼれた前向きな言葉に、満は「そうそう」とうなずく。和葉はとなりで何かを決心したように、口元をキュッと結んだ。
それがいつもの和葉と違う一面を見せていて、そんな表情をさせる中嶋という存在に──満の心は少しだけ、ピリッとした痛みを感じる。
後日、和葉は中嶋を校舎裏へと呼び出し、告白をした。
そんな風に満は考えて、うつむく和葉に声をかけた。
「でもカズなら、きっと成功する」
「へ?」
和葉はびっくりして満を見上げた。そこにはニッコリとした、仏のような顔がある。
「告白してさ、中嶋に意識してもらえばいいんだよ。そこからが勝負だ」
「ええ?」
「意識させちゃえば、男なんて単純なんだからあっという間だよ。告白、しちゃえしちゃえ」
「で、でも……」
「カズは男人気あるんだよ、知らない? そんな子に告白してもらったら、あの中嶋だって……」
「人気? あはは、それはないない」
鈍感すぎる和葉は自身への評価を流して、しかしどこか安堵したように息を吐いた。
下に向けていた顔を、空へ上げる。
「あー、でもなんか、それもいいかも。意識してもらわないと、始まらないよね」
ようやくこぼれた前向きな言葉に、満は「そうそう」とうなずく。和葉はとなりで何かを決心したように、口元をキュッと結んだ。
それがいつもの和葉と違う一面を見せていて、そんな表情をさせる中嶋という存在に──満の心は少しだけ、ピリッとした痛みを感じる。
後日、和葉は中嶋を校舎裏へと呼び出し、告白をした。
