「じゃ、放課後に門の前で待ってますから♪」

宮川はそれだけ言うとさっさと教室に戻っていった。

「あれぇ?約束なんかしちゃって怪しいなぁ♪」
「う、うるさいな!仕方ないでしょ!!」
「でもさ、気を付けた方がいいよ」

急に優が真剣な顔になって言う。

「え?」
「あんた、何にも気づかないわけ?」

優がはぁっとため息を漏らす。
「周り、見てみなよ」

私は素直にくるりと見る。でも、すぐに顔を背ける。
そこには、私たちを見ている女の子の怖い顔たちがあった。

「( ̄□ ̄;)ガーン」
「ね?だから、気をつけなよ☆」

お、恐ろしい・・・・!!

「特に宮川は人気だからね。いつかやばいかもよ?」
「あ、ありえなくもない・・・・・・」

あぁ、普通の生活に戻りたいよ・・・。






放課後―

「あ」

急に優が声を上げる。

「何?どうしたの?」
「・・・・・雨」

優が見上げている空を見ると、確かに雨がぽつぽつと降っていた。
そういえば、あたし傘持ってない。

「やば、あたし傘持ってないんだけど」
「はぁ?走って帰るしかないね」
「そんな!入れてってよぉ!!」
「やぁだ。じゃ、私帰るから」

スタスタと歩いていく優。
「ちょ、優!!」

あたしの叫び声も虚しく、届いているのやら届いていないのか。

「仕方ない、走って帰るか・・・」

そう思って走り出そうとしたその瞬間、門の前にあいつが立っているのが見えた。
「遅いですよ、先輩」