「そんなに力一杯否定しなくていいよ☆」

優は筆箱を拾い、渡しながら言う。

「否定ぐらいするわよ!!だいたい、あいつ口軽いかもしれな「せんぱーい」

ピキッと固まる私。
恐る恐る振り返ると、そこには笑顔で手を振っている宮川がいた。

「( ̄Д ̄;) ガーン」
「おぉ、さっそく登場」
「あ、優先輩!こんちは!!」

宮川は傍にやってくると、優に笑顔で挨拶する。

「聞いたよ、宮川。凛と一緒のバイトなんだって?」
「はい、そうなんですよ。昨日バイト先に行ったら先輩と会ってびっくりしましたよぉ」

優と宮川はやけに親しげに話していた。

「て、ちょっと待ってよ。優と宮川って知り合いなの?!」
「うん。同じ中学だったからね」
「そ、そうだったんだ・・・」
「それより先輩、今日って帰りなにか用事あります?」

首をかしげながら聞いてくる宮川。

「別にないけど・・・」
「じゃぁ、一緒に帰りません?」
「はぁ!?」

またボトッと筆箱を落とす私。

「なんであたしがあんたと帰んなきゃいけないのよ!」
「だって、俺一人だと寂しいじゃないですか」
「なんでそうなんのよ!」
「それに」

宮川は私の耳に口を近づける。
すると、囁くように小声で言った。

「俺、いつも帰りに誰かついてくるから、一人だとバイトの所までついてこられちゃいますよ」

宮川の吐息が耳にかかる。背筋がぞくっとしたが、何でもないふりをした。
でも、確かについてこられるのは困る。
宮川だけばれるのならまだいいけど(←ヒドイ;)私がばれるのなんとしても避けたい。

「・・・分かったわよ」