いきなり黙るから、不思議に思った私は振り向いたが後で後悔した。振り返んなきゃよかった・・・。もしかして、傷ついちゃったかなって思ったのに宮川は笑っていた。

「・・・何で笑ってるの?」
「いや、そこまで言われるとかなり燃えるなぁって思って」
「は?」
「あ、違う。萌えるか」

発音的に同じだろ・・・。

「とにかく、そこまで言われるとかなり手に入れたくなっちゃうなぁって思って」
「・・・・・・・・・馬鹿じゃない?」
「うん、俺馬鹿かも」

私は控え室に入ろうとするといきなり手を捕まれた。

「!?」

華奢なくせに、かなり力が強い。キッと睨みをきかせると、宮川は妖笑を浮かべた。そのとき、いきなり手を引かれ・・・・・・・・・

カリッ

耳を噛まれ、チクリと痛みが走る。

「!?」
「いずれ、手に入れてみせるよ」
「・・・ふざけんな!!」

バンッとドアを閉める私。前もなかったけ、こういうの・・・。そして、ドアの向こうから声を押し殺しながら笑う宮川の声。

あいつ・・・マジむかつく・・・・・・(怒)

どうやら私は、とんでもない新入りを迎えてしまったようだ。







「えぇ!?宮川拓哉が!?」

優がびっくりして大きな声を出す。
昨日の出来事から一夜明け、私たちは今学校にいる。
そして今、昨日のことを優に話していたとこだ。

「優、声大きい」
「ご、ごめん。てか、なんで!?」
「さぁ?知らないけど、たぶん店長が声かけたんじゃない?」
「あぁ、面食いなんだっけ」

優が教科書をまとめながら言う。

「そっ。だから大変なんだよね」

私たちは廊下に並んで歩く。

「でもいいなぁ」
「なにが?」
「宮川と同じバイトってのが」

ぼとっと私は筆箱を落とす。

「ど、どこが!?」
「え~、いいじゃん。格好いい男子と一緒に働けるんだからさ☆」
「よくないでしょ!!ばれたらどうすんのよ!!」