「先輩も結構有名ですよ。美人だって評判だし」
「へぇ、それは知らなかったかも」
「でも、そんな先輩と働けて俺ってラッキーかも☆」

・・・なるほどね。こいつ、こうやって女の子射止めてきたんだ。

「うぬぼれないで。あたし、あんたみたいなチャラい男は嫌いなの」

私は、ズバッと言った。

「それに、私と一緒にここで働いているとか、他の人には絶対に言わないで。大変なことになるわ」
「・・・分かりました」

宮川は少々面白くなさそうに頷いたが、さも思いついたように蘭を見て言った。

「先輩、さっき、俺みたいなチャラい男は嫌いだって言いましたよね?」
「言ったけど・・・」
「でも、俺は先輩みたいな強い女の人好きですから」

さらっと言う宮川。

「そりゃどーも!!(怒)」

なんか無性にむかついたから、ドアを思いっきり閉めて店の方へ戻る。

なんなの?あいつ。

まるで馬鹿にされたような感じ。「そんなこと言っても絶対に好きになるよ?」みたいな。はっ、あたしはそんなに甘い女じゃないっつーの!!
私は、壁により掛かりながらウイスキーを一口飲む。カラン、とグラスを回しながら店内を見る。客は多からず少なからず。もう一口ウイスキーを飲もうとすると、横からグラスを取られた。

「そんなに飲んだら酔っぱらいますよ、先輩」

生意気なことを言っているのは宮川。

「ちゃんと着替えてきましたよ。意外と似合ってません?俺」
「着替えたんならお客の相手してきて」
「つれないですね~」
「凛ちゃ~ん☆」

誰かに呼ばれ振り向くと、そこにいたのは裕美さんだった。裕美さんはうちの常連客。週に何回かこの店に飲みに来る。

「いつもありがとうございます、裕美さん」
「いいのよ☆だってここのカクテルおいしいもん!!」