店長はにっこりと笑みを浮かべ、二人に微笑む。

「こんなに可愛い二人に、毎晩ご飯作ってあげれるなんて、幸せだわ~☆」
「だから、早く結婚すればいいのに・・・」
「それは、関係ないでしょー!?」

こっそりと言ったつもりだったのに、店長には聞こえてだようだ。

「さてと、私は二人の晩ご飯を早速作ろっかな~♪」
「じゃ、私は着替えてきまーす」
「姉ちゃん」

控え室に行こうと足を進めようとすると、レオに呼び止められた。
私は振り返りながら聞く。

「なに?」
「あのさ、ここって『バー』だよな」
「うん、そうだけど?」
「姉ちゃんってバーでバイトしてんの?」
「え”」

説明すんの忘れてた~!!

私は一瞬青ざめ、冷や汗が流れるのを感じた。

「う、うん、そうなんだけど・・・決してお酒を飲んだりしてるわけじゃくて、ただ運んだり、この店の歌手として働いているだけで・・・;;」
「ふーん。母さんや大姉貴は知ってんの?」
「し、知るわけないでしょ!知られたらどうなると思ってんのよ!!」

私はそこまで言うと、はっと気づく。

「まさかあんた、母さん達に言う気じゃないでしょうね・・?」
「言わねーよ」

レオははっきりと言い放つ。
それを聞いた瞬間、少しだけずるっ、と転ける。

「へ・・?」
「言うわけねーだろ。そんなこと言ったら母さん失神するだろ。それに、そこまで俺は薄情な奴じゃねーよ」
「あ、そう」

なんだ、びっくりさせんなよ;;
ひとまずは安心だね。

「そういえば、拓哉くん遅いわね~」

店長が時計を見ながら、心配そうに呟く。

「心配しなくてもちゃんと来ますって」
「そうよね~。でも不安だわ~・・・」
「あいつのことですし、どうせ事故とかには遭ってませんよ」
「そうそう、俺さっきからここにいますから」
「そうそう、ここに・・・って、おいぃぃ!!」